「全てのモノゴト事象が全て嘘偽り無く真実を語って下さっている事に気づき感謝する事」
毎朝タバコ吸いの自分の定位置、コンロ前換気扇の下の椅子に腰掛けながら家族が飲むコーヒーを台所で淹れるのが日課なのだ。
定位置から流し部分を眺めながらふと鍋底の焦げ付いた黒さが目についた。修行時代の薪で煮炊きしていた頃ならば煤(すす)が付くのは致し方無いと思うが今はガスを使っている。燃料効率の高いガスなのに煤がこびり付く事は本来不自然なのだ。
洗い物をする時、料理を作る表面に注視し洗う…鍋底に小さな付着物に注視する事を怠っていたから、付着物が焦げ付き続け層を為す酷い状態になったと気づいた。
以前ならば直ぐ必死になって鍋底を磨き上げただろうが、自分が取った行動は次回1回使う度に使う前より少し綺麗にし続ける事にした。現在、殆どの鍋は表裏ともに綺麗な状態になった。
結局いえる事は、日々の小事が最終的な大事に至る…全てにおいて必ず理由が有り現在(いま)目の前の現実となって現れているだけの事だ。
大事に至り狼狽え、一気に解決しようとする姿ばかりが目に付くが、その大事から自分自身が何を学ぶかがそれから先の現世人生の明暗を分ける。学びを得た事に対する感謝まで持っていく事が理想なのだ。
元に戻したいならば大事に至るまでのプロセスを逆に考え、薄皮を剥ぐが如く元の状態まで持っていくしか無い。薄皮を1つ1つ剥がしながら1つの小事をおざなりにした自分の心を点検し続ければ真理に気づく事になり自分自身の心に刻まれる。
但、「覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)」と故事に有るが如く元に戻せない事柄も人の世には存在する事も記しておく。