宗教法人

来慶山忠暘院

先細り行き列車に乗り込む方々へ…

先細り行き列車に乗り込む方々へ…

周囲を眺めていていると、

 

 

 

自分を「主」と考えて生きている人間は一時隆盛を極めても時とともに没落していく姿を観ることが出来る。

 

 

よく親御さんが子供に対して、

 

 
「それやると得だよ!」

 

 
「それやると損だよ!」

 
なんて語る姿を観ると、

 

 

「親のくだらない価値観を子供に継承させて…いつか子供が気づけば良いが、基本先細りだな…」

 

 

なんて思う時が有る。

 

 
自分を「主」と考えている世の中の風潮で有るから致し方ないのだが…

 

 
最近自分の感覚は、駅のホームで列車に乗る乗客を眺めている様な感じだ。

 

 

ホームの向かいに2つの列車が停まっているのだが、片方の列車の行き先は荒野の果てに有る「先細り駅」…もう片方は間逆へ進む列車…

 

 

沢山の、先細り駅行きの列車に乗り込む人間と不人気の逆方向行きの列車に乗ろうとする人間模様を黙って観ているのだ。

 

 

 

但、先細り駅行きの列車に乗り込む乗客の列の側で、反対方向に行く列車の切符を差し出しながらだ。

 

 

訊かれもしない事に応えもしないが…とりあえず訊かれるまで待つ事に決めている。(何度か逆方向行きの切符を無理に手渡そうとして痛い目に遭った経験からだ…)

 

 

有難い事に、最近、自分の周囲は逆向きの列車に乗る切符を持った方々が増えてきた。

 

 
それも他人の為に先細り方向とは逆に行く切符を沢山持っている方々ばかりなのだ。

 

 
そんな中には先細り集団列車に乗る方々の前で、反対側行きの切符を差し出し、声もかけているが…

 

 

ほとんどの方は見向きもせず…子供の手を引いて疑いもせず先細り駅行き列車に乗り込んで行くから不思議な気分で有る。

 

 

自分だけが「得」をしたい人間が大勢乗り込んだ狭い集団列車の中でどんな事が待ち受けているのか想像するだけで背筋が寒くなるが…

 

 

それも人の世で有る。

 

 
そろそろ反対方向行きの列車も出発…

 
乗り込むか…

 

 
どちらにも乗らずホームで見送るか…

 

 
只今、思案中で有る。

忠暘院

横浜市緑区のお寺です。
よろしくお願い致します。